151日目 スクールワーカー

スクールワーカー、またはスクールソーシャルワーカーという言葉をご存じですか。

カウンセラーは一般的な言葉になりましたが、ソーシャルワーカーはまだまだ関係者しか知らない言葉です。

スクールワーカーと聞いて、用務員さん(イメージとしては作業服を着て清掃や補修をしている年配の方や業者の方)と思われる方もいますが、ちがいます。もしかしたらそのような学校もあるかもしれませんので断定はできませんが、少なくともこの記事で書こうとしているワーカーさんの意味は用務員さんではありません。

ソーシャルワーカーとは生活相談員ともよばれる生活と社会を福祉でつなぐ人のことです。資格でいうと社会福祉士や精神保健福祉士です。

仕事としては、障害者や高齢者、ひとり親世帯や重度介護世帯など、生活のしづらさや困難さを抱えた人たちの支援や相談、必要な行政サービスにつなげることなどがあります。

必要ない人にとっては存在が知られていないかもしれませんが、必要としている層は一定数居るのも事実です。

それは学校でも同じです。

識字障害や学習障害で支援が必要な児童、知的障害で通常学級が難しい児童、発達障害でコミュニケーションが困難な児童、身体障害で補助が必要な児童、障害名・診断名はつかないグレーゾーンな児童、

過重労働で疲弊している教員、現場を知らずにショックを受ける新任教員、助けてもらえず孤独に陥る若手教員、保護者と上からの圧力に心を壊す管理職など、

学校には支援や相談を受けるべき人がたくさんいます。

カウンセラーは相談に乗ってくれます、悩みを聞いてくれますが、解決はしてくれません。そこは業務の範囲外です。

しかし、早急に解決を要する支援が学校現場には山積しています。

その山を切り開くのがソーシャルワーカーです。

理想はカウンセラーとソーシャルワーカーの二重支援です。

人材や予算の関係で現時点ではそこまでの整備は行き届いていませんが、少しずつスクールソーシャルワーカーの配置が進んでいます。

具体的にスクールソーシャルワーカーの役割を見ていきましょう。

たとえば、学級崩壊しているクラスがあるとします。2名の児童が学習障害があるとの診断を受けました。1名の児童が知的障害の疑いがあります。けがをして松葉杖の子もいます。加配はいません。

学校は、多くの保護者からの相談を受けて、障害を持っている子のための支援学級をつくることを決定して、2学期から運用していこうと考えています。

ここで問題です。

誰を支援学級に入れますか。それはだれが決めますか。決めてからの本人や保護者への対応はどうしますか。反対された場合どうしますか。クラスへの通知はどうしますか。進度が変わることにどう対応しますか。他学年にも広げますか。誰を支援学級の担当に充てますか。その根拠はありますか。障害ではない子の親が支援学級の利用を希望した場合は? などなど

さまざまな問題が噴出し、管理職だけでは手に負えないでしょう。一つ解決してもまた別の問題が浮上する可能性もあります。

それをスールソーシャルワーカーが間に入って、学校、児童、保護者にとってよりよい方針を探っていきます。

特に保護者理解と、学校の対応については綿密な計画が必要になります。この崩壊クラスだけの問題にとどまらないことも考えられます。加配の導入からはじめるのか、児童の障害や特性に合わせて通常級と併用するのかといったところは本人やご家族の意思を確認する必要がありますし、クラス全体に理解を求めなければなりません。

このケースでも知的障害者と松葉杖の子では扱いが全く違います。学習障害の子も支援学級に行くほどではないかもしれませんが、2名を全く同じ扱いにすると学校側が勝手に判断するのもよくないです。やはり、診断名がついているので何かしらの対応は必要になりますので、本人やご家族に確認しておきたいですね。

支援とは無縁の児童たちには、学習障害は知的障害ではないこと、知的と発達は両方持っている可能性があることなどの障害者理解教育も進める必要があり、この点に関してはソーシャルワーカーが先頭に立って担うべきところです。

ケースバイケースの対応にはなりますが、障害者を隔離するのではなく共生できる道を創っていくのが世の中の流れでもありますし、ノーマライゼーションや合理的配慮について学校で教育するチャンスでもあります。

「みんなちがってみんないい」社会になるため、スクールソーシャルワーカーの必要性は高まっています。

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