幻覚です。
見えるだけなら幻視とも言いますが、多くは幻聴を伴うのでここでは幻覚としておきます。
いつも同じような人型のものが見えることもあれば、虫や飛行物、食べ物が見えることもあるようです。
どういったメカニズムで見えるのかは解明されていませんが、
アルコールや薬物依存の禁断症状的なものから、虐待や事故などによるトラウマ的なもの、そして統合失調症でよく見られるそうです。
彼らとて四六時中見えるわけではなく、気分が沈んでる時や体調が悪い時に見えるようになり、
しばらく逃げたり隠れたり目を閉じたり薬を飲むことで、気づいたら消えているとのこと。
慣れてくると気にせずにやり過ごしたり、無視して気分転換できるようになるとか。
また、見えそうな予兆がある時と突然現れる時とあるようで、
外出先や人混みで見えてしまうとパニックになるので外出を控えていたり、定職に就けないなどの苦労があるようです。
健常者からしたら彼らは「見えないものが見える」となるが、彼らからしたら「見えるものが(健常者は)見えない」
だから精神疾患としての幻覚は怖い。
当の本人は見えてしまう怖さ、その対処に困惑しパニックになり暴れることもある。
周囲にいる見えない人たちは、幻覚と戦う姿が怪奇に映って怖い。何かされるかもしれない怖さと何もできずに困惑する。
精神分裂と呼ばれていたのも頷けますね。
だからこそ、理解する必要があります。
幻覚も安心感があれば早く消えるようですし、理解者がいると現れにくいそうです。
脳の障害といっても過度のストレスや感情的なものがトリガーになりやすいので
近くに安心できる理解者が必要なんですね。
でもそれは必ずしも家族やソーシャルワーカーだけではなく
地域の人々や近所の子どもたち、行きつけの店員さんでもいいんです。多ければ多いほど安心が増えるので、症状は和らぎます。
そのために、見えないものを見ようとする教育が大切なのではないでしょうか。
車椅子の人にエレベーターを譲るように、妊婦に席を空けるように、お年寄りの荷物を持ってあげるように、
誰もが精神疾患者の不安に寄り添える世の中にしていければいいなと思いました。