以前ご紹介した「ベてるの家」を訪問しに北海道に来ました。
お盆と台風が重なるニュースの中、北海道は好天に恵まれ暑すぎず心地よい気候でした。
浦河町は千歳空港から120km、レンタカーで2時間半くらいで前日夜に着きました。
当日は朝からミーティングを利用者の方が中心に進め、各グループホームの利用者の体調や生活状況の報告や、べてるでの作業の進捗を共有しました。
施設の歴史や理念について説明を受け、各グループホームや教会などを案内していただき、午後は利用者と一緒にイチゴの選別作業をしました。
昆布は有名ですが、イチゴ栽培はこの時期が最盛期で、出荷漏れした規格外のイチゴをヘタをとって加工用として出荷できるように選別しました。
べてるの家が有名となっているのは、当事者研究と地場産業の振興に寄与しているところです。
当事者研究は書籍などでも取り上げられ、精神科デイケアなどでも採用されているので認知度は高まっていますが、
地域と一体となった産業振興となると、全国的にもまだまだ珍しいです。
個人的な意見ですが、都会などの人口密集地では難しいです。福祉施設が競合してしまうと、地場産業の素材が取り合いになるので、むしろ独占しているほうがいいのではと思います。
浦河町では福祉施設=べてるが成り立っているので、役場も企業も何かあればまずべてるに声を掛けますし、べてるからも声をあげやすい。
田舎(というと失礼ですが)であれば、役場と福祉施設が一体となって町おこしをしやすいですし、そこで働く障害者のモチベーションも高く保てます。
翻って都会では、役所が業務委託したり、社協が間に入って施設の支援をしてくれることはありますが、町おこしの概念は生まれません。
ただ障害者が住みやすいように、働きやすい施設を応援しますので競争してくださいといった関係になり、選ばれない施設は淘汰されます。
ちなみにべてるも黒字経営ではありますが、地場産業の売り上げだけみれば赤字です。あくまで補助金と障害者雇用による調整金などで成り立っているとのことです。
就労支援もB型で、A型をやれるほどの採算性の高い事業はできないんです。カフェを改装して来月に営業するそうですが、こちらもおそらくB型です。
障害者がただ働くだけではなく、地域に貢献していることや誰かの笑顔になる仕事をしているというやりがいと、それを受ける地域社会が必要だなと感じます。
もちろん、浦河町がすんなりべてるを受け入れたわけではなく、何年にもわたる地域住民の反発や施設コンフリクトを乗り越えて、住民が納得せざるを得ない地域貢献を果たして今があるそうです。
地域に根差すには、地域の理解を得なければならない日本の現実に、べてるの存在価値を見出した気がしました。